Baking Days

オーブントースターでもスコーンを焼けることが判明したので、今年に入ってからは一度もパンを買っていない。スコーンなら材料さえ揃っていれば目分量で大雑把に焼けるし、一度に 4 回の朝食分をまとめて冷凍できるから、わざわざ 1.5 km 離れたスーパーマーケットまで歩いていったり、電車に乗って COSTCO へ行ったりするよりも、ずっと早くて手軽なのだ。仕事の合間に粉いじりをするのはストレス解消にもなる。ナッツやらチョコやらサツマイモやらを適当に入れながら、粉や油の配合を変えたりするのも単純に楽しい。

いま悩んでいるのは、油脂分をどうするかという問題だ。ただ味のことだけを考えるなら、バター 100%が最高に旨い。ただ、お値段がちょいと張る。COSTCO のバター(大きくて安い)を使っても、スコーン1個の原価を 30 セント以下(目標値)に抑えられない。さらにバターだけだと、どんなスコーンを焼いても、「バターの風味が美味しいスコーン」になってしまうのだ。つまりバターが目立ちすぎる。というより、プレーンにメープルシロップを垂らすのがいちばん旨い。それだと少々つまらない。

ではラード 100%だと、どうなるのか。焼いた表面の食感がさっくさくになる。本当に外側だけクッキーみたいになる。もはや別の食べ物だ。こっちを食べてしまうと、バター 100%のスコーンは、ただの洋菓子だ。あれは歯ごたえが女々しい。あんなもんケーキの仲間じゃねえか、ほわほわのホットビスケットじゃねえか、お前なんざアフタヌーンティの客にでも食われてりゃいいんだ、と思ってしまう。つまりラードを使うと、バターとは違ったソリッドな美味しさになる。ぎりぎりまで砂糖を減らしてチーズを入れても旨い。具を入れても邪魔にならない。そのうえラードはバターよりも少し安い。しかし風味がバターの圧勝であることは、否定したくとも否定できない。

というわけで最近は、ラードとバターを半々にすることが多い。ちなみにラードはベーコン屋さんで買っている。おそらくはベーコンの制作過程で、受け皿に溜まった脂を集めたものなのだろう。ところどころ茶色いのが混じってる。正直に言えば、「そんなんで 5 ドルも取るのかよ、韓国食材店のおからは無料だぜ?」という気持ちもある。でも旨いからいいのだ。

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ベーコン屋さんのラード。私は「バケツラード」と呼んでいる。ところどころ茶色い。そこだけ舐めると塩っぱい。