「東日本大震災のとき、海外の人々が SNS で日の丸のアイコンを使ったり、『日本のために祈る』と書いてくれたりして嬉しかった」というのと、「だから私も、いまフランス国旗をアイコンに使って、フランスのために祈ります」というのは、根本的に話が違うと思っている。前者は「天災の被害者に向けた祈り」で、後者は「フランス側を支持するもの」であるように私には見えるからだ。
それを掲げている人を非難するつもりは毛頭ない。「シリアやイラクで無実の人がばんばん死んでも心を痛めないのに、テロでフランス人が死んだときだけ悲しむのはなぜだ」とか、そういうところに難癖をつけたいわけでもない。だいたい誰にでも、それぞれに共感しやすいものとしにくいものがある。その基準はぐちゃぐちゃで曖昧で適当だ。私だって豚肉が好きだけど犬猫が死ぬのは悲しい。そのくせ子豚を見れば可愛いと思う。ベジタリアンから見れば「さっぱり分からない感覚」だろう。私自身にも分かっていないのだから当たり前だ。だから、他人が何を見て心を痛めようと、その感情に口を出すつもりはない。
ただ、その二つのアイコンは「違う」と私は思っている。