無駄な抵抗

本日の業務。長い翻訳 1 本。次の執筆用の資料あつめ。以上。

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職種を尋ねられて、「セキュリティ関連の記事を書いたり、英語のセキュリティ記事の翻訳をしたりしてます」と大雑把に答えると、「そのような隙間産業があるのですか」と驚かれたりする。その気持ちはよく分かる。自分も数年前まで、サイバーセキュリティというものに対して、いわゆる IT 業界の中にある一つのジャンルぐらいの認識しか持ってなかった。

本当は、「セキュリティ系のライター兼翻訳者という肩書きではありますが、脆弱性の研究や暗号技術やプログラミングそのものには明るくないので、基本的にはサイバーインシデントやシギント、ダークウェブ犯罪、ハクティビスト、世界の盗聴法やセキュリティ法あたりに関するジャンルの仕事だけを請けたいと考えています。しかし翻訳に関しては、そこまで仕事を選べないのが難しいところです」と言いたいのだけれど、たぶん伝わらない。

頭の悪い中年女なりに思うのは、それこそがセキュリティの問題点だということだ。全インターネットユーザーにとって、自身の身を守るために必要な話題なのに、「なんか面倒だし、読んでもギークくせえから関わりたくない」と思われてしまう。「プログラムのことを一つも知らなくてもゲームは楽しめるだろう? だからセキュリティを知らなくてもインターネットは楽しめるさ」という感覚を持たれてしまう。それを完全に放置すれば自分たちの首を絞める。現実の問題として金品やプライバシーを奪われる。知人にも迷惑をかける。知らぬ間に犯罪に荷担してしまう。

だから私は、もっとジャンル分けしたほうがいいと思うのだ。まずは「組織のセキュリティ担当者向け」の話題と、「一般向け」の話題に分けなければ、一般の人には読んでもらえない。とはいえ、「一般向けセキュリティメディア」なんて誰もやりたくないのではないか。そんなものは恐ろしく面倒くさいし、よほど素晴らしい奇策でもないかぎりは金にならないだろうからだ。そのうえ楽しいゲームや漫画のように人々から愛されるわけでもない。「教習所で無料配布される交通ルール読本」みたいなものだと認識されるだろう。それで商売をするのは辛い。

結局は、政府機関なり外郭団体なりが儲けを度外視して請け負うべき仕事ということになるのかもしれない。だとしたら私は、こんな業界に1ミリたりとも関わりあいたくない。逃げたい。もうダメだ。はやく地球が終わればいいのに。ええ、いま午前4時半です。寝られないんです。