旅の終わりは悲しい。なにが悲しいって、明日からは自分で皿を洗ったり床を拭いたり枕カバーを洗ったりシーツを交換したりしなければならないことだ。旅の終わりは家事の始まりだ。あの、まったく達成感のない作業(※)に戻るのが心の底から辛い。
仕事の始まりについてはどうなのかと問われたら、仕事をせずに楽しめる旅行など、もう何年も経験していないので分からない。
※ 念のために申し上げておくと、もちろん家事を馬鹿にするつもりは毛頭ない。そして何に達成感を得るのかは人それぞれだろうと思っている。ちなみに私がこれまでに最も「達成感が得られる」と思っていた仕事は、学生時代にやっていた単純作業系のバイト、特に宛名のタイピングや封筒貼りなどの山をごっそりと残りなく片付けるタイプのものだ。その点、家事は「きれいになってもまた汚れる感じ」が非常に辛い。さらに、あしたまとめて片付けてもいいんじゃないのか、あさってでもいいんじゃないのか、と逃げる口実がいくらでも見つかる。あれをこまめにきちんとこなせる人は、日常を良い状態に保つ能力に長けている。生き物としてのレベルが高いと思う。尊敬する。