Singular & Plural

先日、大好きな食材店が並んでいるエリアへ、ローリエの葉を買いに行った。家を出たあとで、「ああ、しまった。ローリエって英語じゃないじゃん」と気づいたのだけれど、歩いているうちに別の名前を思い出した。ベイリーフだ。というわけで、躊躇なく店に入って尋ねてみた。

「すみません。Bay leaf  はありますか?」
「……ああ、ええと、Bay leaves が欲しいのかな?」
「あ、そうです(しまった、複数形で言うのを忘れた)」
「うちには置いてないけど、この道を200メートルぐらいまっすぐ行って、●●ストリートの手前ぐらいの右手に、××って食材店があるから。あっちには Bay leaves があるはずだよ」
「ご丁寧に、ありがとうございます」
「よい一日を」
「ありがとう、あなたもよい一日を」

そして私は、教えてもらった2軒目の店を訪問したときに、同じ間違いをしたのだった。

「すみません。Bay leaf はありますか?」
「Bay leaf? Bay leaves でいいのかな」
「あ。はい」
「いちばん小さな袋でも20枚ぐらい入ってるけど、それでもいいかな」
「いいです、それください」

本当にいまさらながら、なるほどなと思った。
私は普段、「英語を喋る連中ってのは、単数と複数に厳格すぎるんじゃねえのか、どっちだっていいだろうがよ、どっちでも分かるだろうがよ」と思いがちなのだけれど。あっちにしてみりゃ、客から「月桂樹の葉っぱを一枚ください」と言われているわけだから、こういう会話になってしまうのだ。

「はい、1ドル75セントだよ」
「安いですね」
「そうだよー、安いもんだよ。これ一袋で2、3ヶ月はもつんだよ」

店のおじちゃんは笑顔で言う。
そうか。もしかしたら私はいま、「ベイリーフの値段なんて想像もつかないまま、『さぞかし高級な食材なのだろう』と勝手に思い込み、レシピに書かれていた葉っぱを 1 枚だけバラで買おうとしていた東洋人の客」だと思われているのではないだろうか。

これ日本人もガンガン使いますよ、大鍋の煮込み料理なら一度に3~4枚は使いますよ、と伝えたかったのだけれど、勘違いされているかどうかも分からないし、たとえ勇気を持って伝えようとしたところで、またしても Bay leaf と Bay leaves を言い間違えて、ますます相手を混乱させてしまいそうな気がしたので、やめておいたのだった。