Bacon

私がバンクーバーで最も愛しているソーセージ屋(ベーコンが最高に旨くて価格も良心的)は、昨年の夏、「新装のために一時閉店します。秋に会いましょう」と張り紙を出して閉店した。それから一年と数か月が経過して、今年の10月末、ようやく新装開店した。まさか一年後の秋になるとは予想してなかった。もう二度と会えないのだろうと思っていたから本当に嬉しい。

その新装開店の直後。WHOが「加工肉の発がん性リスク」に関する発表をして、健康オタクの多いカナダでは大きな騒ぎになった。ニュース番組は、「ハムやベーコンで増える発がんリスクは煙草と同程度」「保存料を利用しているかどうかは関係ない」といった話題を、あたかも衝撃の事実であるかのように伝えた。

別にどうだっていいけど。なにも、こんなタイミングで発表しなくてもいいだろう。私の大好きな店が復活したばかりなのに。あの店で売ってるものは加工肉だけだ。他には何もないのだ。いま、顧客の足が途絶えたらどうしてくれるのだ。勘弁してくれ。せめて応援のために、いますぐ私が行かなければ。そう思った。

というわけで、さっそくベーコンを買い足しに行った。お客さんはいっぱいいた。みんな「ベーコン厚めに切って」だの、「やっぱり100グラム増やして」だのと言ってる。ぜんぜん大丈夫だった。ほっとした。ソーセージやら、皮つきのブロックベーコンやら、いっぱい買ってポトフを作った。たいへん幸せだ。冬のポトフというのは、なぜこうも旨いのだろう。WHOにありがとうと言いたいぐらいだ。