◇警告◇ 今回の書き込みには、非常に安直な偏見が含まれている可能性があります。
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昔っから疑問だった。ミス・ユニバースというのは一体、誰が見ているのだと。いや、私だってテレビで見たことはある。あるんだけど、きちんと視聴することはできなかった。びっくりするぐらいどうでもいいからだ。自分とは何の関係もない、何の共通点もない、生まれてから死ぬまで一瞬のつながりも生まれないであろう世界の美女たちが、一斉に貼りついたような笑顔を浮かべて、毒にも薬にもならないようなパフォーマンスをしたり、敗れても笑顔で相手を讃えたりしている。もう何もかもが無駄にきらびやかで虚栄くさくて、そのくせ本当に退屈なのだ。さらに、「ここまで行っちゃうと、もう美人なんだかなんなんだかよくわかんねえや」という感じの姉ちゃんが多い。ザッピングせずにいられない人は多いだろう。いくら興味本位でも、要は「それぞれの代表が入場するところ」と「結果発表」だけ見ればいいのだ。こんなものを毎年、最初から最後まで本気で楽しんでる一般人なんて本当はいないのではないかと。それでも続いているのはなぜなんだろうと。そう思っていた。
昨晩のこと。友人S(女装はしないけれどオネエ的な言動をなさる可愛いおっさん。ネパール出身のインテリ。私の数少ない友人の一人。すごく年下の彼氏と同棲中。カナダ発のエンタメ系ブログでは「ナターシャ」の名で記事を書いている)から電話がかかってきた。
「ねえちょっと、あんた見た? 今年のミスユニバース見た?」
「いや、うちテレビないって言ってんじゃん」
「もー、なにやってんの。はやくケーブル引きなさいよ。それでさ、例の表彰式の騒ぎのせいで埋もれちゃってるけど、今年のインド代表の子、知ってる?」
「知らない(表彰式で何が起きたのかも知らない、とは言わない)」
「知らない? 彼女は Bollywood 女優なんだけどね、めちゃめちゃゴージャスな女で、ただ、やっぱりあの場でパフォーマンスやってんの見ると、一人だけドラァグクイーンみたいに見えちゃうわけよ」
まったく興味を示さない私を無視して、Sはとても楽しそうに、うきうきとした口調で、今年のインド代表が 15 位圏内に入れなかった理由に関する様々な考察を語りつづけるのだった。ものすごくしっくり来た。「そうか、ここにあったのか、需要」と思った。