Burst into Loud Laughter

昨日、友人たちと晩ご飯を食べた。バンクーバーに戻ってから誰にも会ってなかったので、2 週間ちょっとぶりの「人と話す機会」になった。自分の生活には少し問題があるのかもしれないような気がしはじめている。

今回は女性 6 人の集まりだった。日本で言うところの婦人会、あるいは女子会に該当するのかもしれない。ただ、そのうち 4 人はレスビアンカップル(すでに結婚している)なので、ちょっと違うものかもしれない。

つまり単身者は、私ともう一人の女性だけという構成だったのだけれど、その女性、L と私は初対面だった。友人 A が L に私を紹介しながら「この人がケイだよ」と言うと、L は「……ちょっと待って」と呟きながら、深刻そうな顔で、しばらく私をじろじろと眺め回した。その後、とつぜん我慢できなくなったようにゲラゲラと笑い出し、「ダメだー。わかんない。今回は降参」と A に言った。A は首を振りながら、「降参なし。答えは?」と L に促す。L は困ったような顔をして言った。

「ううう……ベトナム人?」
「残念でした」
「ちょっと待て、もう一回、チャンスを」
「ダメ。ケイは日本人です」
「日本人? うわ、完全に騙された」

説明によると、どうやら L は「バンクーバーにいるアジア系の女性で、見た目から出身国を当てられなかったことは一度もない」と豪語しており、「そんなものは分かるわけがない」という A は何度も賭けに負けてきた。そして A は「最終兵器」として私に会わせたのだそうだ。「急に笑ってごめんね、失礼なことをした」と L は笑いながら謝る。しかし私は、失礼だとか失礼じゃないとかいう以前の問題として、納得できなかった。

「いや……私は、かなり典型的な日本人の顔だと思うぞ。バスの中で、ぜんぜん知らない人から『あなたは日本人ですね』って当てられたこともあるぐらいだし」
「ぜんぜん違う、あなたは日本人に見えない。日本人と韓国人は真っ先に候補から外したもん」
「どこが違うんだ」
「第一に、日本人と韓国人の女性は、レストランでディナーを食べるってときにノーメークで現れたりしない」
「そうとも限らないぞ」
「日本人女性は、髪の毛と眉毛のアレンジが入念」
「あー、そうじゃない人もいるぞ」
「日本人女性は、こんなスニーカーを履かない」
「そうとも……言えないんじゃないかな……これは旅行でボロボロになって」
「日本人女性は、普段着でも流行りの傾向を取り入れてる」
「その点は認めよう」
「あとは背が」
「……分かった。要するに、顔で判断してるわけじゃないのか」
「女の顔なんて、どうにでもなる。『メイクの方法』以外は、あまり見分けの役に立たない」
「そうか」
「ただ、目の形がベトナム人っぽかった」
「そうなのか」
「なるほどなー、日本人でもレスビアンだと、こういう感じになるんだな」
「あー、私はレスビアンではないんだ」
「え?」
「数年前までは夫もいた」
「あなたが日本人だということより、そっちのほうがもっと意外だ」
「そうか」
「というよりも、なぜ日本人のストレートの女性が、こんな連中と親しくしているのかが解せない」
「それは A たちに失礼だろ」
「あ、エイセクシャル?」
「たぶん違うと思う」

ここで A が、「ケイの性的オリエンテーションを探るのはタブーなんだよ」と助け船を出してくれたのだった。いや、タブーにした覚えはないのだけれど。ぜんぜん。