ご無沙汰しております。
昨年の末、どうにか無事にカレッジを卒業しました。一時はどうなることかと思いましたが、おかげさまで Honours Diploma を取得できました。単なる自慢です。ちょっとお勉強ができる以外に自慢することもないのです。
卒業後は地元の教育委員会に雇われまして、現在は B.C. 州の某学区の公立学校で Education Assistant の職に就いております。勤務先の学校はほぼ日替わりです。いろんな教室で、幼稚園児から高校生までの多種多様な児童に接する機会を得ております。
ときには「俺のやることに口を出すな」と怒りまくる身長190cmほどの黒人男子高生と喧嘩をしたり、あるいは「みんな殺してやる」と叫びながら暴れる小学生を押さえ込んで顔面を蹴られたりすることもあるのですが、どうにか怪我をすることもなく働いております。少しも飽きることのない毎日です。 ひょっとすると天職なのかもしれないと思っています。大変ありがたいことです。
もうセキュリティの仕事はしておりません。
あれからの私は常に、岡本氏の指輪を自分の中指につけて生活しております。少々目立つデザインなのですが、教育委員会の就職面接でもつけたままでした。それを外すのは、自宅でうどんをこねるときぐらいです。
岡本氏の遺品を身につけて暮らしている人は、他に何十人もいることでしょう。 私のような人間は少しも珍しくありませんので、「自分は岡本イズムの継承者なのだ」などといった気負いは微塵も持っておりません。また「あのような事件を未然に防ぐことができるものがあるとするなら、それはインクルージョンとダイバーシティを原点とした教育だけなのだ」などといった使命に燃えて働いているわけでもありません。しかし岡本氏から教わったことは全て、いまの仕事に活かされているなと考えております。
私から見た岡本氏は、損得では動かない、長いものに巻かれない、強い人の顔色をうかがって妥協しない、楽をしようとしない、それでいて「へらへらしているようにしか見えない」人でした。自分が同じようになれるのかどうかは別として。それは私が学校で何かと向き合わなければならないときの目標になっています。私は岡本氏の死から何も学ぶつもりがありませんが、岡本氏と最後に働くことができた幸運なライターの一人として、氏の「かっこよかったところ」を少しでも忘れたくないものだと思っております。
岡本氏が何より大事になさっていたご家族の方々、そして Hagex ロス/岡本顕一郎ロスに苦しんでいる方々が、少しでも心の平安を得られますよう。
いつかまた岡本氏のエピソードを交換することで、その場所に一瞬でも岡本氏を蘇らせることができればいいなと思っています。
それではまた。