Puppies Are a Lot of Work

いまの家にはテレビがないので、もう長いこと見ていないのだけれど。BC 州のニュース番組 Global BC は、お昼の時間帯に「ペットの養子縁組コーナー」を放送している。地元の動物シェルター SPCA のスタッフが、いま施設に保護されているペットをスタジオに連れてきて(ほぼ毎日)、その特徴を一匹ずつ紹介しながら「どういう環境に向いているのか」「どういう家庭なら安心して里子に出すか」を語る。バンクーバーのペット事情が非常に良い状態を保っているのは、犬や猫の生体販売を禁止する法律の功績が大きいと思うけれど、こういうテレビ番組のおかげもあるんじゃないかと私は感じている。

ちなみに同シェルターは以前、「この猫は残念ながら、 2 年間も飼育に適した飼い主と引き合わせることができないまま当施設に馴染んでしまっている。しかし猫とは、そういう生き物ではないだろう。自分こそ家族にふさわしいと思う人は面接に来てほしい」と WEB に記していた(もう消えているから、たぶん良い飼い主が見つかったのだろう)。日本の保健所事情を少し知っている人間としては、「2 年間、普通に保護してることが凄いよな」と思ってしまう。

そして今日、ぼんやり Facebook のタイムラインを見ていたら、「Global BC の養子縁組コーナーが最高だった、笑った」という書き込みが目立ったので、私も動画を見てみることにした。

「……この Hachi は生後 5 か月です。これまで全く躾を受けていません、マナーというものを知りませんので、このような悪い行動を許さないよう、充分な教育をすることが要求されます。忘れないでください、この犬はまだ子供なので、今後のあなたが関わる時間は長くなります……」と説明するスタッフの隣で、大型犬の子供の Hachi(5 か月とは思えないほどデカい)が、やりたい放題の悪戯をかます動画。といっても、そんなに派手なことをしているわけでもない。

バンクーバーを散歩している犬は、やたらと行儀の良い犬が多い。犬専用の躾学校に通って一緒にトレーニングをする飼い主が多いのだ。それはそれで良いことだと思うのだけれど。そう簡単には見られない「子犬らしい子犬のワイルドなふるまい」を見た視聴者の皆さんは、かなり和んだのだろうと思う。FBの投稿には、たいへん前向きなコメントが並んでいた。

この動画、カンペをボロボロにされてもスタッフは慌てないのだけれど、Hachi がポインセチアを食い荒らしそうになったとき、あわててそれを止めながら、「気をつけてください、いや本気で。これは犬に良くない植物です、こういう植物とか、チョコレートとか、手の届かないところに置く必要があります」と、散らかった葉を拾いながら解説するあたりが、まったくプロだなと思った。

まあ、いい飼い主さんが見つかるだろう。きっと。

※追記……これ書いたあとで急に思い出した。そういえば、この番組は数年前に「人間の子供の」養子縁組も行っていた、まったく同じ時間帯の枠で。そのときは「ああ、今日は紹介できるペットがいなかったのかな」と思ったのだけれど、いま考えると、ちょっとすごいような気がする。もしかして夢だったんだろうか。その当時、一緒に同じ番組を見たはずの人に確認してみよう。こんど会ったら。