隣の部屋を片付けていたルームサービスの女性(ちょっと怖そうな顔)に、「寒いよう、お湯を浴びたいよう」と泣きついたら、シャワーからお湯が出るようになった。もっと正確に言うと、お湯を出すためのテクニックを教えてもらえた。
「ああ、この部屋はね。このC/Hの表示を信じちゃダメ。完全にHのところまでハンドルを回すと、また水になっちゃうから」
「なんで?」
「なんでか知らないけど。ほら、このあたり。よく見て、このあたり。このあたりで止めるとお湯になるの」
「わあ、あったかい。本当にお湯が出た」
「出るでしょ?」
「助かった、ありがとう。お仕事中だったのにごめんね」
「いいってことよ、スウィーティ」
というわけで、くそ安いモーテルだけどお湯が出た。これで数か月ぶりの湯船を堪能できる。たいへんラッキーだ。たぶん日頃の行いが良すぎるせいだろう。