A Standard of Living

心から愛していたのだけれど、どうしても住むことが叶わなかったエリアに、うまいことアパートを見つけて住みやがった元夫が、いま日本に長期出張している。「たまに郵便受けをチェックするお仕事」を頼まれたので、まんまと家に上がりこんでる。

何でも勝手に使っていいと言われたものの、ぜんぜん食材がなかったので、野菜と肉とパスタを買った。我が家と違って、このあたりには飲食店がゴロゴロあるのだけれど、お気に入りの店もあるのだけれど、どこにいてもキッチンがあるかぎりは自炊しなければ気が済まない。自分の好きな量の食事を、自分のために作れないと泣きたくなる。台湾で一度も料理できない4か月の地獄を経験してから、その病気に拍車がかかったような気がする。

湯船があったので、10か月ぶりにお湯に浸かった。冷蔵庫にビールは入ってなかったけど、2リットルぐらいのアイスクリーム(バニラとチョコレート、ひとつずつ)が入ってたので、風呂あがりに食べている。なんだ。この貴族のような気分は。危ない。こんな、人間らしい生活に慣れてしまうのは危ない。思い出しちゃダメだ。もし、この家に食洗機があったら、たぶん終わってた。