「シェルターで飼い主を待っている、いまにも殺されそうな動物が何万頭といる中、ペットショップで犬や猫を購入する人」を断罪する人がいる。その気持ちは分からないでもないけれど、私は、それを言い出したら社会生活が終わると思っている。どちらかといえば、「誰にも育てられずに貧困で死んでいく子供たちが溢れている中、わざわざ自分で出産する人」のほうが理解に苦しむからだ。
大事に大事に子供を育てている友人や家族や兄弟に向かって、「自分の遺伝子を持った子供じゃなきゃ育てたくないんですか、ずいぶん心が狭いのですね」などと言う勇気が私にはない。たぶん、そういうことじゃないのだろう、私のほうが間違っているのだろうという自覚もある。おそらく私には、どんなに努力しても、死ぬまで分からない価値観がある。だから「血統書のついた犬でなければ飼いたくない」という人に対しても、やはり否定的な態度を取ることができない。私には、そのふたつの違いも分かっていないからだ。