こんな感じで、頭上 10 メートルぐらいの樹上にいた。鳥やサルと違って動かないから、顔が見えていなければ「何かの巣」にしか見えないし、存在に気づかない。たとえ顔が分かっても、どこまでがナマケモノの身体なのかがよく分からないぐらい。
ずっと同じ森で仕事をしているガイドでも、そう簡単には見つけられないようだ。
私が最初にナマケモノを見たのは11月19日のこと。「ガイドさんが我々にホエザルを見せようとテレスコープを設置していたら、食事中のサルの数メートル向こうに、たまたまナマケモノの顔があるのに気づいた」という状況だった。このときガイドさんは「うわっ、ナマケモノいた。あんたたちラッキーだよ!」と言って興奮していたのだけれど、なにしろ距離が遠く、テレスコープで見ても枝葉の隙間から顔がチラっと薄く見えてるだけだったので、「ナマケモノを見た!」という実感はあまりない。「なるほど、これはナマケモノなのだな、たぶんな」という感じだった。「シミュラクラ現象」という言葉を思い出したりもした。一応、そのときの写真も撮ったけれど、ナマケモノだか木の陰だかも分からないので載せない。
さらに2~3時間後。同じ個体が仰向けになってくれたおかげで、赤ちゃんを抱っこしていたことが判明。チラ見せをしてくださった。残念ながら、かなりの露出オーバーで撮影した写真以外は、赤ちゃんの顔がよく分からなかったので、こんな感じになっちゃってるけど。