いつも日本に来るたび、いきなり札幌へ飛んで、数人のお友達と遊んでもらって、そのあと仕事しながらジャパンレールパスで国内を縦断して、最後に東京へ戻って、仕事先の挨拶回りをするのがお決まりのコースだった。しかし今年の夏からJRパスが使えなくなってしまったので、今回は東京に留まっている。ほとんど何もしてない。いろいろ会いたい人もいるけど、普段めったに人と会わない生活をしてるから、急に会っても何をしたらいいのか分からなくて怖い。動けない。とてもつきあいの長い友達(数人)に遊んでもらうと、急に気分が高揚するので、帰宅しても興奮がおさまらず、そのあとなんだか寂しくなって働くのがイヤになって、テレビを見ながら寝てしまう。こんなことをしてたら失業するから、今日は図書館へ行こうと思う。
やはり移動してないとダメだ。
同じ作業をするにしても、新幹線でひたすら移動して、空き時間にうどんを食べたり探鳥地を回ったりしていれば「楽しい一人旅を満喫している私(ただし仕事つき)」になることができた。でも東京に留まってると「わざわざ日本まで来たのに図書館で普段と同じ仕事をしてるだけの私」になってしまう。つまり11時間かけて帰国しても、遊んでくれるような友人はほとんどいない。そして「せっかく日本へ来ているのだから今日は〇〇へ行って××をしようか?」などと言い合える相手もおらず、ただ一人で図書館へ行くしかない、そして「なぜ私はいまここにいるのだろう」などと考えてしまう、そんな自分の人生をかなり根本的なところから疑問視せずにいられなくなる。
もう一人で好き勝手に生きて好き勝手に死のうと決めたから、こういう孤独は織り込み済みのはずなのだけれど、それでも東京にいると妙に寂しくなる。パートナーも家族も仕事仲間も相棒もペットも手に入れられなかった自分は、完全に負けなのだなと感じてしまう。これは非常にまずい。どこかへ行こう。このあと1年はどこにも行けないのだ。あと4週間のうちに、ちゃんと何か真剣に楽しまないとダメだ。伴侶や家族や安定した職を手に入れた人には、そうそう簡単には実現できないようなことを。一人の利点を生かすようなことを早くしでかさなければ、私はおかしくなってしまう。