三次元と英会話

本日の業務。修正原稿入稿。翻訳1.5本。請求書提出。以上。

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先日、3D プリンタで鍵をコピーする手法が説明されている記事を翻訳したのだけれど、なんべん読んでも全く内容が理解できなかった。話が三次元なのだ。普段、ハッキングやセキュリティの話は、あまり「立体」について述べる機会がない。ここで突然、三次元の話をされたらお手上げだ。

(ちなみに私は空間把握能力が大幅に欠如している。なにしろ中学2年生のとき、数学の T 教師から、「お前は何も悪くない。こういう生徒はたまにいる。他は何の問題もなく解けるんだから、立体の問題を見たら飛ばせ、円錐とか三角錐とか一秒も考えるな、その時間で残りの正解率を100%にしろ」という、非常に実践的なありがたいアドバイスを頂戴しているぐらいなので、かなりひどい)

それでも結局、この記事の元になったプレゼンのビデオを何度か繰り返し視聴し、そのあと発表者がWEBで公開しているプログラムを実際に稼働させてみて、ようやく私は記事の内容を理解することができたのだけれど。今回の記事は、おそらく空間把握能力がある人にとっても難しい内容だったのではないかと思う。「錠」とか「鍵」とか「溝」とか「鍵穴」とか「山」とか「高さ」とかいうような言葉が絡まって、グチャグチャになっている様子が見て取れるのだ。

一般的なシリンダー錠を開ける鍵は、「水平方向の凹凸」と「垂直方向の凹凸」を組み合わせて作られている。さらに言えば、「垂直方向のでこぼこ」は、錠の内部にあるシアラインを水平にすることによって解錠する。こんなんだから、「いま自分は、どの部分の話をしているのか」を読者に伝えるのが、たいへん難しいのだ。

特に、この画像を文字で説明しようとした一文は、えらいことになっていた。この図はシリンダー鍵のコピーキーとマスターキーの違い(および、犯罪者がマスターキーの複製品を作ろうとするときの手法)を示している。絵にすると、それほど複雑な話ではない。しかし、これを文字だけで伝えようとすると、「高さ」とか「長さ」とか「それ」とか「これ」とかいう言葉ばかりになってしまう。ライターさんのせいじゃない。こんなものを文字で説明しようとすること自体が無謀なのだ、たぶん。

ところで、ちょっと話はそれるのだけれど。

数年前に通っていた移民用の英語学校でクラスメイトになった韓国人の女性が、無料の英語学習法として、「自分の持っている家電のメーカーに問い合わせの電話をかけて、ふだんから疑問に思っていたことを片っ端から尋ねる」という手法を教えてくれたことがある。これは、とんでもないスパルタ英会話なので、勇気のある方には是非とも試してみていただきたい。たぶん日本のメーカーでも、英語で提供しているコールセンターにかけることができるだろう。

うまく伝わらないことに焦りながら、こちらの状況を説明するのは本当に難しい。「あのですね、左から二番目にあるベージュっぽいダイヤルを、カチッと音がするまで右に回せと説明書には書いてあるのですが、実際にダイヤルを動かしてみると、えーと、下についているほうのダイヤルのメモリの『3』の出っ張りと平行になったあたりから、急にダイヤルに重さが感じられなくなって、空回りしているような感じになるんですよ。それでも無視して回しつづけると、ちゃんと『カチ』って言うんですけど、これって放っておいても大丈夫なんですかね」などと説明する英会話は、ものすごくレベルが高い。相手もプロなので(しかもクレームではないので)何度でも丁寧に話を聞いてくれる。たった数分でも一気に体力を消耗するぐらい集中して学習できるうえ、マンツーマンなので無駄がない。そのうえ無料だ。あまり時間のない大人にこそお勧めしたい学習法だ。あまりにも神経が磨り減るので、私は 2 回で止めてしまったのだけれど。

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【本日、アップロードされたお仕事】 翻訳 1 本。あいかわらずツイートされない。「モチベーション下がりまくり」と言いたいところだけれど、内容が自分好みなので、そういうことにもならない。

欧州人権裁判所が大規模な監視に「違法」の判決を下す~その判断は、英国政府のスパイ法を抹殺するかもしれない(The Register)