金石餐廳餅店の焗豬扒飯に捧げる詩
まるで君は武田久美子
残忍な肉食植物
浮浪者とゲロと注射針の街で
大きな花びらを音もなく広げ
容赦なく僕を捕らえる
一輪の武田久美子
本当はとっくに知ってる
どれだけ自分が無理をしているのか
どれだけ無様に疲れ果ててしまったのか
知ってるくせに足掻いてる
その理由もよく分からないまま
もう何もかも摩耗してしまった
いまは気力だけで立ってて
目を開けているのが精一杯で
それでもバスを降りてしまった
Carnegie Community Centre の前で
掃きだめみたいな交差点で
君に会いたくてバスを降りてしまった
異形と呼べるほどのいやらしさを湛えた君は
てらてらと輝く誇らしげな笑顔を浮かべて
おんぼろの僕を見下しながら
「そんなになっても、まだ私がほしいの」と囁く
「やってごらんなさいよ」と
「見せてごらんなさいよ」と
絶望と怒りに身を任せて、僕はそれに応える
どれだけ君をむさぼっても、
むさぼってもむさぼってもむさぼっても
いま奪われているのはむしろ僕だと思う
君の骨をしゃぶりつくしても
すっかり空になった皿を見ても
自分だけ不格好に取り残されたような気がする
消えてしまった君から、まだ笑われているような気がする
君は僕を癒さない
それでいい
君を消化できる気もしないから
このまま僕を終わらせてほしい
君の脂で
君の塩分で
僕に流れる血を止めて
この小さなテーブル席で
僕にとどめをさして
ここで僕を終わりにして
まるで君は武田久美子
残忍な肉食植物
浮浪者とゲロと注射針の街で
大きな花びらを音もなく広げ
容赦なく僕を捕らえる
一輪の武田久美子