My Friend’s Boyfriend 1

おっさんのくせに可愛いネパール人の友人Sは、今年の夏、自分より20歳ほど若い彼氏(インド系ネパール人)をバンクーバーに呼び寄せた。彼は数年前から永住権を取得するために手続きをしていて、その申請がようやく通ったのだという。

それまでの間、私を含めたSの友人連中は、Sの彼氏のことを「実在しないボーイフレンド」と呼んでいた。私がSに初めて出会った3年前から、すでにSは「若くて、頭が良くて、可愛くて、バカみたいにセクシーな彼氏がいる、そのうち一緒に住むつもりだ」とノロケまくっていたにも関わらず、その彼氏とやらは一向にバンクーバーへ来る気配がなかったのだ。

「君は金持ちだから、若い子に騙されて送金をさせられてるに違いない」「いや、すべてが君の妄想なのではないか」「そろそろ目を覚ませ」と、我々はS自身にもダイレクトに伝えてきた。そのたびにSは、「もうすぐ来るんだから、あんたたち黙って待ってなさい」みたいな捨て台詞を吐いていた。

そして今年の夏、ついに噂の「Sの彼氏」がやってくるというので、我々はお祝いをすることになった。その待ち合わせ場所に現れたSの彼氏は、「すげえ」としか言いようがないほど、まったくもって噂どおりの青年だった。むちゃくちゃホットだった。セクシーだった。くそエロかった。たぶんハンサムだったのだろうと思う。でも顔を思い出せない。普通のスーツを着ているだけなのに、なんというのか、あまりにもエロすぎて直視できなかったのだ。

そんなSの彼氏はベジタリアンだった。我々が食事へ向かう際、彼は「申し訳ないけど」と前置きしてから我々に尋ねた。「ベジタリアンメニューの専門店でもいいだろうか? ベジタリアンメニューのある店ではなくて」

「いいけど?」
「すまない、両方のメニューが混在している店だと、肉を切った包丁を使っているかもしれない。僕は調理場を確認できないから」
「はあ」

つづく