No Need to Rest for

ものすごくどうでもいい話。

「箸置き」というのは、ただ単に「箸が置かれているところ」「食べ終わった箸を戻すところ」であって、箸を利用する人が何度もお世話になるわけではないのだから、「箸置き」という名前は少し大げさなんじゃないかと、子供の頃の私は思っていた。つまり食事中に箸を置くという習慣が私には無かった。食欲旺盛な兄と一緒に育った私にとって、食事というのはどこまでも真剣に、一心不乱に食べものをかきこむ時間だった。誰にも邪魔をされたくなかったし、何にも邪魔をさせてはならないと考えていた。だから箸を置かなければならないような状況など一つも想像できなかった。

お酒を飲む年になって、初めて「箸置き」を箸置きとして使った。こういうことだったのかと驚いた。これで私も大人の仲間入りだなと思った。ただし大人になった現在でも、お酒を飲んでいるとき以外は基本的に箸を置かない。食事中は電話が鳴っても無視する。