貴重

やはり、どうしてもビットコインに絡んだ話題に興味を持つことができず、いくら書いても書いても面白くならなかったので、執筆先の媒体の編集長に頼んでテーマを変更してもらった。こんな身勝手なライターがいても良いのだろうか。

私が「もうダメです、ごめんなさい、このネタでは面白いものが書けそうにありません」とダダをこねる状況は2つに分けることができる。ひとつは、あまりにも難しすぎて途中で逃げたくなって弱音を吐かずにいられない場合。もうひとつは、そもそもの具材を好きになれないので料理をしたくない場合だ。後者の場合、どんなに頑張っても満足できるものが書けない。

O編集長は「どっちの場合なのか」を見分けるのが異常にうまい。ただ弱音を吐いてるだけだなと察したときは、「大丈夫です、江添さんなら書けます、あなたが書けないのなら誰が書けるんですか、××だって江添さんに書いてほしがってますよ」などと、全力投球でなだめすかしてでも最後まで書かせる。だけど「あ、今回は本当にダメなパターンだな」と察したときには決して無理強いしない。それどころか「ネタ変えちゃいましょうか」とあっさり提案してくださる。いったい何を基準にしているのだろうか、とにかく彼の判断はいつも的確だ。かなり偏ったライター陣とばかり何年も働いてきた人だけが培うことのできる特殊な技能なのか、あるいは天賦の才能なのか。どっちにしろ貴重な存在だと思う。一方の私ときたら、いくらでも取り替えのきく無所属のライターなのに、いい年してまだダダをこねている。