Creepiness

数時間ほど家を空けて帰宅してみたら、玄関のドアに何かが挟まっていた。黄色い紙だった。不思議に思いながら広げてみたら、そこには日本語の文字が印刷されていた。某宗教団体のバンクーバー支部のチラシだった。「聖書の学び:どなたでもご出席ください」みたいなことが書いてあった。

これは、ものすごく怖い。

まず、我が家の玄関は入り口が分かりづらい。大家さんが利用している玄関からは遠く離れたところに、地下室専用の入り口がある。そのドアを開けると「2つの地下室に繋がる、鍵のついた2つのドア」があって、そのうちの1つが私の自宅の玄関になっている。どちらにも表札らしきものは出ていない。ドアにスコープもついていない。このような仕様であるため、私の家には郵便物さえまともに届かない。郵便局の人も宅配便の人も、大家さんの家のチャイムを鳴らす。そこで誰も出ないと、荷物を持ち帰ってしまうのだ。

つまり郵便局のデータにも、「私の自宅のドアがどこにあるのか」は登録されていない。ましてや普通の人は、「ここに誰かが住んでいること」すら知らない。だから、これまで誰もチラシなど挟まなかった。そこになぜ、日本語のチラシが挟まっているのか。バンクーバー市民の人種別データを見れば、日本人は全体の1.5%以下だということが分かる。100人中2人以下しか読めない言語のチラシを、無作為に挟むわけがないのだ。まして、玄関であることすら分かりづらいドアに。

気持ち悪い。本当に気持ち悪い。しかも人が珍しく家を空けているときに来やがった。相手がどんなツラをしてるのか見ておきたかった。いや、そんなことはない。家にいなくて良かったのだろう。

もしも自宅で仕事をしているとき、誰かに玄関のドアをノックされたら、私は100%「大家さんか、隣の地下室の住人だな」と信じてドアを開けてしまう。そこに知らない日本人が立っていて、笑顔で「こんにちはー」などと言われようものなら。きっと私は大きな悲鳴を上げていた。恐怖で完全に我を失っていた。そのあと、「誰から聞いた? どうやって調べた?」と、後先のことも考えずに相手を怒鳴りつけていただろう。どのような情報ルートが、彼らの背後にあるのかも知らないまま。